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知覚過敏(歯がしみる症状)の対策について

みなさんこんにちは。

今回は、知覚過敏(冷たい水などで歯がしみる症状)に関して、お家でできる対策についてご紹介します。

 

知覚過敏がある人は、歯と歯茎のキワの部分で「歯のすり減り」及び「歯茎のやせ下がり」が起きていることが多く、これらが知覚過敏の主な原因となります。

また、しみる症状を悪化させるサブ因子として、「過剰なかみ合わせの力」「酸性の飲食物や胃酸逆流」があります。

これらについて、ご家庭での注意事項や対策をご説明していきます。

 

・・・と、その前に、「歯のすり減り」と「歯茎のやせ下がり」は、ちょっと違いが分かりにくいかもしれませんので、一度整理しておきましょう。

  • 「歯のすり減り」は、歯そのものが部分的に削れている状態です。

歯がすり減ると、歯の中にある神経までの距離が近くなることで刺激が伝わりやすくなり、通常では痛みを感じない程度の刺激でも、痛みを感じやすい状態になります。

  • 「歯茎のやせ下がり」は、歯ではなく周りの歯茎の量が減っている状態です。

歯茎が下がると、歯の「根っこ」が露出している部分が大きくなってしまいます。歯の根っこの部分は敏感な場所ですので、ここに刺激が伝わることで知覚過敏症状が出ることがあります。

 

 

 

 

 

 

以上のことを踏まえて、対策について考えていきます。

 

【ハミガキの工夫その① 歯磨き粉の使い方】

まずは、先ほどの2つの原因のうち、「歯のすり減り」への対策についてです。

以前は、ハミガキの力加減が強すぎる場合、つまりガシガシ力強くハミガキをしていたらそれだけで歯がすり減る、と言われていました。

しかし、最近の研究によると、ハミガキ(という動作)のみでは歯のすり減りは起こらず、研磨剤入りの歯磨き粉を使用してハミガキをすることですり減りが起こる、ということが分かっています。

(研磨剤とは、歯についた汚れを落とす補助をする成分で、洗剤のジフに入っている粒つぶのようなイメージです)

つまり、「研磨剤入りの歯磨き粉の使用」という条件があってはじめて、歯がすり減るということです。

では、歯磨き粉は使わない方がいいのか?ということになりますが、歯磨き粉の中には、むし歯予防に有効な「フッ素」や、歯周病予防に有効な「抗菌成分」など、他の病気に対して有効な成分がたくさん含まれています。ですので、歯磨き粉そのものは、使った方がいいものになります。

ではどうすべきかと言いますと、「研磨剤が入っていない歯磨き粉」を使う、ということが有効になってきます。

そのため、まずは研磨剤が入っていない歯磨き粉をお店で見つける必要があります。

研磨剤の有無の見分け方ですが、基本的に「ジェル状」と表記されている歯磨き粉であれば、研磨剤は入っていないことが多いです。

確実な見分け方としては、商品に記載されている歯磨き粉の成分表を見る方法があります。研磨剤は「清掃剤」として表記されていることが多いので、成分表に「清掃剤」という表記があれば、その歯磨き粉には研磨剤が入っていることになります。(直接「研磨剤」と書かれている場合もあります)

なので、「清掃剤」もしくは「研磨剤」と表記されていない歯磨き粉を選ぶようにしましょう。

ただ、市販品で研磨剤が入っていない製品は、実はあまり種類がありません。店頭に並んでいる歯磨き粉のうち、9割近くは研磨剤入りの歯磨き粉になると思いますので、パッケージをしっかり見て確認してみてください。

 

また、この他に、「知覚過敏対策用」として市販されている歯磨き粉もあります。

一番有名なのは『シュミテクト』という商品ですね。

このような知覚過敏対策をうたっている歯磨き粉には、知覚過敏の症状を抑える特別な成分が含まれています。こちらは成分的には知覚過敏対策に有効なのですが、私が調べた限りでは、これらの商品には残念ながら研磨剤も含まれているようです。

 

まとめると、

研磨剤なし歯磨き粉は、知覚過敏の症状を抑える成分は入っていないが、歯のすり減りを防ぐことができる。

知覚過敏対策用の歯磨き粉は、知覚過敏の症状を抑える成分は入っているが、歯のすり減りは起こってしまう可能性がある。

ということになります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それぞれに良し悪しがあるので、「研磨剤なし」歯磨き粉と「知覚過敏対策成分入り」歯磨き粉、それぞれの特徴を生かした使い方をすることがポイントになります。

 

具体的には、以下のような方法が考えられます。

  1. しみる症状が出ていない時の「普段使い」には研磨剤なしの歯磨き粉を使い、症状が出始めたら対策成分入りのものを使う。
  2. 毎回のハミガキの際に、まずは研磨剤なしの歯磨き粉で全体を磨き、うがいをした後で対策成分入りの歯磨き粉を使う。この時、「磨く」動作をすると歯がすり減るので、磨くというよりは軟膏を塗るようなイメージで、歯磨き粉を「塗り付ける」程度にとどめておく。

 

2.は、歯磨き粉を2回使わないといけないので手間が増えますが、すり減り防止としては2.の方がおすすめです。

皆様それぞれの生活習慣や症状の程度に合わせてやってみてください。

 

ちなみに、先ほどご紹介した研磨剤に関する研究では、歯ブラシの毛の硬さの違いについては触れられていません。そのため、「かため」歯ブラシでも、研磨剤入りの歯磨き粉を使わなければすり減らないのかどうかは不明です。

これについての考え方ですが、まずハミガキで取るべき汚れ(歯垢)というのは、きちんと毛先が当たってさえいれば、「ふつう」の硬さで充分取れるものです。ハミガキで重要なのは、「毛のかたさ」ではなく、「いかに目的とするところに毛先が当たっているか?(毛先を的確に当てるテクニック)」です。そのことを考えると、わざわざ「かため」を選ぶ必要性はないので、毛の硬さは「ふつう」にしておいた方が無難です。

 

【ハミガキの工夫その② しみるところは「タテみがき」にする】

次に、「歯茎のやせ下がり」についての対策です。

この歯茎の下がりは、歯周病で起こることもありますが、過剰なハミガキの力も、その原因のひとつとされています。

(これに関して、「歯のすり減り」のように歯磨き粉の研磨剤の有無が影響するかについての研究は、私が知る限りありませんので、あくまで私見になりますが、おそらく「歯茎のやせ下がり」については、研磨剤の有無とは無関係に過剰なハミガキの力のみでも起こるものと思われます)

そのため、ハミガキの力を弱くする対策が必要になってきます。

 

さて、その対策についてですが、以前は、患者さんに対して単純に「ハミガキの時の力を弱くしてください」というアドバイスをしていました。

しかし、(これはハミガキに限った話ではないのですが)人間、一度ついた「クセ」というものは、なかなか修正することができません。

例えば、歯医者の検診の時に今までとは違う磨き方を教えてもらって、最初のうちは言われたとおりに磨いていたけれど、数か月後の次の検診の時には、すっかり元の磨き方に戻っていた、という経験はりませんか?

これと同じように、弱めにハミガキをしようと思っていても、油断するとついつい元のクセが出てきて、強い力で磨いてしまう、ということがよくあります。

 

ではどうすればいいか?

その対策として、はじめから「力のかかりにくい磨き方」に変える、という手段があります。

具体的には、しみる箇所については、

ヨコみがきからタテみがきに変える

ということです。

多くの人は、歯ブラシを横向きに当てて、歯の並びに対してヨコ方向(水平方向、左右方向)に動かしてハミガキをしていると思います。この方法ですと、歯と歯茎の付け根部分にたくさんの力がかかってしまいます。

 

 

 

 

 

 

これに対し、歯ブラシをタテ向きに当てて、歯の並びに対してタテ方向(垂直方向、上下方向)に動かすようにすると、付け根部分に力が集中する危険性を下げることができます。また、タテみがきの場合は、1か所1か所順番に磨くことになるため、磨く動作が小さく小刻みになり、自然と力が弱くなります。(「ガシガシみがく」から「チョコチョコみがく」に変化するイメージです)

 

 

 

 

 

 

以上のことから、知覚過敏がある人には、タテみがきをおすすめします。

 

ただし、この方法だと、一度に1本の歯しかみがけないので効率が悪いことと、奥歯はほっぺたが邪魔をして、前歯にくらべるとやりにくい場合がある、という欠点があります。

そのため、しみる場所が一部の歯のみの人は、しみる箇所についてはタテみがき、しみていない箇所についてはヨコみがきをするのがいいと思います。

また、厳密に「タテ」方向でなくても(つまり少々「ナナメ方向」になっても)、ヨコみがきよりは力が軽減されるので、あまり神経質にならずに、できる範囲でやってみてください。

 

 

続いて、知覚過敏を悪化させる「サブ因子」に対する対策をご紹介します。

【かみ合わせの力に対する対策】

咬み合わせの力の負担が多すぎると、歯や周りの組織に悪影響が出ることがあります。

知覚過敏に関連したところでは、歯にたわむ力がかかることで、歯に小さなひび割れができ、これによって中の神経に刺激が伝わりやすくなる、ということが考えられます。

そのため、なるべく歯に負担をかけないよう意識することが、知覚過敏の症状を軽減させるうえで重要です。

 

「よく咬んで食べることは大切だ」と、世間では言われています。

これは、胃などの消化器官の負担を減らすうえでは有効ですが、過ぎたるは猶及ばざるが如しで、咬み過ぎは、胃にはよくても歯にはダメージになります。

(ちなみに、今回はその理由については割愛しますが、咬まなさ過ぎ、も良くありません。何事も、極端に振るのは良くないことが多いですね。)

 

食事の上での注意点としては、好んで固いものや歯ごたえがあるもの「ばかり」食べないことです。特に加熱したイカやタコなど、グニャッとした弾力があるものは歯に負担がかかりやすいです。全く食べるなとは言いませんが、頻繁にそういったものを食べている方は、頻度を落としてみましょう。

 

また、過剰な「食いしばり」も歯にとってはダメージになります。

力仕事やスポーツ、あるいは根を詰めた作業をするとき、人間は無意識に食いしばっていることが多いです。仕事であれば仕方がないかもしれませんが、趣味でやっている場合は、少し控えるようにしましょう。

 

【酸性の飲食物・胃酸逆流にも注意】

歯に酸性のものが触れると、歯が溶かされてしまいます。

「むし歯」というのも、むし歯菌が作り出す「酸」によって歯が溶かされてしまう病気です。むし歯菌が出す酸以外にも、お口の中には酸性の物質が入ってくることがあります。

 

そのひとつは酸性の飲食物、もうひとつは、胃酸です。

酸性の飲食物で代表的なものは、酸っぱい味のするもの、たとえば梅干しや酢の物、柑橘類などがあります。また、炭酸も、その名の通り(名前に「酸」が入っている)で、酸性のものです。あとは、健康のためにと思ってクエン酸を摂取したり、お酢を直接飲む人もいますね。

知覚過敏の症状がある人は、これらの酸性物を摂取することで、症状が悪化したり、治りが遅くなったりする可能性があるので、控えるようにしましょう。

胃酸については、胃酸の逆流や、つわりがあります。これらについては、まずはお医者さんに相談してみてください。

もしご家庭で対策するとしたら、「緑茶でクチュクチュうがいをする」ことでしょうか。

緑茶は中性の液体なので、歯を溶かすことはありません。また、天然の成分として、フッ素を含んでいます。フッ素は、歯から溶け出したミネラルを取り戻す力があるので、お水よりは緑茶でうがいをすることで、お口の中から酸を追い出すだけでなく、失われたミネラルを取り戻す手助けもしてくれる効果が期待できます。この時のポイントとしては、緑茶を口に含んだ状態で、右に左に、あるいは上に下にと、順番にクチュクチュと混ぜながらお茶を移動させて、お口の中全体にまんべんなく緑茶を行き渡らせることです。うがいのあとは吐き出してもいいですし、お茶なので、そのまま飲んでも大丈夫です。

 

 

以上が、ご家庭でできる知覚過敏対策になります。

知覚過敏というのは、一度症状が消えても、再び症状が出てくることが多い病気です。

それはおそらくハミガキや食生活などの生活習慣で、その人のクセが原因になっている可能性が高いからだと思います。症状が消えた後も、ここに書かれていることを意識することで、再発防止の一助となると思いますので、できる範囲で継続してみてください。