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お子さんのむし歯予防③【乳歯の奥歯の生え始め~永久歯が生え始める前】

今回は、乳歯の奥歯が生え始めて乳歯の歯並びが完成する時期(永久歯が生え始める手前)のむし歯予防のポイントを解説します。

歯の生え方はかなり個人差がありますが、1歳4か月~6歳ぐらいまでの時期になります。

 

この時期は、自分で歩けるようになり、言葉も覚え、保育園・幼稚園に通いはじめるなど、行動範囲がかなり広がっていきます。

そのため、食べれるものも増えますし、食事の経験値も増えます。

社会とのかかわりも増えます。

そして、お子さん自身からの主張も増えていきます。

 

このことも踏まえて、むし歯対策をしていきましょう。

 

 

【おやつコントロール】

≪この時期からは「おやつゼロ」はかえって良くない≫

前回の年齢(6か月~1歳3カ月)では、お菓子は極力与えない方がいい、とアドバイスしました。

しかし、成長してくるにつれ、お子さんに物心がつき、経験値も上がり、「世の中に甘いおいしいものがある」ということに気づき始めます。

これぐらいの年齢になってくると、お菓子を「全く与えない」ということは、かえって弊害を生む可能性が出てきます。

 

お菓子を与えなければ、確かに「むし歯リスク」は低くできます。

しかし人間は感情のある生き物です。

あまり極端に抑制しすぎると、「反動」が起きる可能性が高まります。

 

例えば、これから先、小学生になってさらに智恵がついてくると、親の見ていないところでこっそり食べるようになるかもしれません。

また、大学進学などで親元を離れてから、タガが外れたように我慢させられていたお菓子にドはまりする可能性もあります。

過度な抑制は、こういった将来のリスクの種になる可能性があります。

 

そのため、この時期からは、極端に抑制するのではなく、適度におやつを与えて「ガス抜き」をし、また「おやつの正しい食べ方」を身に着けさせた方が、長い目で見て、いいと思います。

 

≪おうちの「おやつルール」を決めよう!≫

というわけで、この時期は、家庭内でおやつルールを決めて、

「ルールを守りながら」「適度に」与えるようにしましょう。

 

「おやつルール」は、不用意にお菓子を食べる回数を増やさないため、あるいはダラダラ食べることを防止するために設定します。

 

ルールの内容は各家庭の状況に合わせて設定してくださって大丈夫なのですが、初回に解説した

1日のうちのおやつの回数を減らす

ダラダラ食い・ダラダラ飲みをしない

なるべくリスクの低いものを選ぶ

寝る前にリスクのあるものは与えない

の4つのポイントを守るルールにしてください。

 

例えば、

・おやつはお昼ご飯と晩御飯のあいだの1回のみ。

・おやつに何を食べるかは、親が決める。(子供に選択権を与えない)

・おやつは幼稚園から帰って手を洗ったら食べれる。(手を洗わなかったら食べれません!)

・食べる時間は15分とし、それが過ぎたら残っていても没収。

・夜ご飯が完食できなかったら、次の日のおやつの量を減らす。

・祖父母の家など、よそでおやつをもらった日は、家でのおやつはなし。

・おやつを食べる時は、必ず親の許可を得てから。(勝手に出して食べない)

といった具合です。

 

そして、作ったルールを家族全員が把握し、必ず守ることが大切です。

お母さんだけでなく、お父さん、兄弟、祖父母にも協力してもらって、ルールをきちっと守りましょう。

 

≪こういった行動に注意!≫

この時期にやってしまいがちな、良くない行動を例示します。

・出先などで子供が泣いてしまい、泣き止ますためにお菓子を与える。

・何かができた時の「ご褒美」としてお菓子を与える。

・スーパーのお菓子売り場などでせがまれて、お菓子を買い与える。

 

特に子供にせがまれたり、ぐずったりするからといって、安易にお菓子を与えてはいけません。

それは子供にとって良くない「成功体験」となり、味をしめた場合は次回もするようになってしまい、次も、そのまた次も・・・と、収集がつかなくなってしまいます。

お菓子やジュースを買う・食べる行為については、絶対に子供に主導権を与えてはいけません

 

≪おやつとして与えるものについて≫

与えるものは、ゼロリスクローリスクもしくはミドルリスクのお菓子にしましょう。

甘いものにこだわりがない場合(おなかが満たされればいい場合)は、おにぎりやお茶漬け、おかずの残りなどの「食事」系のものもおすすめです。

 

ハイリスクのお菓子は、まだ早いです。子供はまだ人生経験が浅いため、食べたことのないもののおいしさは、知りません。

知らなければ、要求してくることもありません。

なので、ハイリスクお菓子の味を知るのは、遅くできるのであれば遅くするに越したことはありません。

 

≪よそでもらうものは、素直にいただきましょう≫

とはいっても、たまによその家(お友達の家や祖父母の家)でお菓子が出されることがあると思います。

その時には食べていいと思います。

せっかく用意してくれたお菓子をお断りするのは、社交的な観点からよくないからです。

しかし、その後お家に帰った後で、そこで出されたものが食べたいと言ってきても、「あれはよそのおうちでしか食べられない特別なもの」と説明して、家では絶対に買わないようにしましょう。

 

 

【ハミガキについて】

一日一回のハミガキは必須です。

目的は

「歯の汚れを落とすこと」

「ハミガキの習慣付けをすること」

で、前回(前歯のみ生えている時期)は「習慣付け」がメインでしたが、この時期からはいよいよ歯の汚れを落とすことも重要になってきます。

 

本人磨きもぼちぼちはじめていきますが、まだ手先の器用さが未熟なため、正しいハミガキはできません。

「歯ブラシを口の中に突っ込んで動かしているだけ」というのが実際のところです。

なので、親御さんによる仕上げ磨きは必ずしてあげてください。

 

使うのは、子供用歯ブラシと、歯磨き粉です。

歯みがき粉は絶対に使いましょう。歯磨き粉に含まれているフッ素成分が歯を強くしてくれるからです。

量は、歯ブラシの毛の部分の長さぐらいです。

上手にできるのであれば、子供用のフロス(糸ようじ)を使って、歯と歯のあいだもきれいにしましょう。

 

奥歯は前歯に比べて形が複雑で、かつお口の奥の方にあるので、歯ブラシが届きにくく、磨きが甘くなりがちです。

 

磨く際の具体的なポイントについては、「歯並び」や「上手にお口をあけられるか」などの条件による個人差が大きいので、歯医者に行って歯科衛生士さんの助言を得るのがいいと思います。

 

嫌がってできない場合の対策は、前回(前歯のみ生えている時期)の最後の方に記載していますので、そちらをご覧ください。

 

 

 

【すでにむし歯ができてしまっている場合】

この時期にすでにむし歯ができているお子さんは、残念ながら、現状ではむし歯のリスクが高い状態であると言わざるを得ません。

生まれてきてから今までの「食生活」や「ハミガキ習慣」が原因の可能性がありますので、まずは今回ご紹介した内容で、できることから取り組んでいってください。

また、むし歯の「潜在的なリスク」として、棲みついているむし歯菌が強くなってしまっている可能性があります。

むし歯菌を弱らせるための対策は、こちらをご覧ください【むし歯菌を弱らせる対策】

 

 

 

今回の内容は以上です。

次回は、【6歳臼歯が生える時期】(5歳~9歳)について解説していきます。

 

お子さんのむし歯予防①【はじめに】(知っておいてほしい基礎知識) 

お子さんのむし歯予防②【乳歯の前歯のみ生えている時期】(6か月~1歳3カ月)

お子さんのむし歯予防⑤【12歳臼歯が生える時期】(小学5年~中学3年)